《ゴッホ展―響きあう魂 ヘレーネとフィンセント》へ行ってまいりました。
概要
ゴッホ作品の世界最大の個人収集家、ヘレーネ・クレラー=ミュラー。
彼女が設立した「クレラー=ミュラー美術館」のコレクションから、ゴッホの油彩画、素描、版画、合計52点が展示されています。
ゴッホに影響を与えたミレー、ルノワール、スーラなどの作品20点もあわせて展示。見ごたえある展覧会となっています。
感想
ゴッホの絵は (ほかのどんな絵もそうだと思いますが)、印刷物や画像では伝わらないんですよね。本物はまるで違う。
色彩がまったく違うし、たまに「チューブからそのまま塗ったのか」みたいな厚塗りがあったりするし、その厚塗りが照明に当たってキラキラするし、体験する絵といった感じです。
ゴッホ展に展示されていた作品のなかから、個人的なベスト3を選んでみました。
BEST3:
黄色、黄色、黄色!《レモンの籠と瓶》
レモンから背景からぜんぶが黄色です。黄色サイコー!みたいな衝動が感じられて好き。
この絵を描いて、黄色に目覚めたというゴッホ。
じつはレモンの輪郭に赤が使われているのもポイントです。
絵はまったくわかんないんですけど、単純にオシャレだなって感じました。
山盛りのレモンを描こうと決めて、こんな絵にはふつうならないと思うから。
BEST2:
16年ぶりの来日、真打《糸杉》
糸杉シリーズの傑作《夜のプロヴァンスの田舎道》。
ゴッホ展のポスターにもなっている代表作品です。
とてつもない迫力でした。ラスボス以外ありえないといったオーラ。
星と月のかがやき、天まで届きそうな糸杉、夜道を行き交う人々。みんなぐるぐる、うねうね。絵の中に入って、道を歩きたくなるような絵でした。
BEST1:
神々しき《種まき人》
《種まき人》が出てきたときはもう、声が出そうになるくらいおどろきました。
写真や印刷物とは、まったくの別物。すっごいパワー。すっごいエネルギー。心の目がガッと開く感じ。圧巻でした。
種をまく人、収穫を待つ麦穂、すべてを残らず照らす太陽、永遠にくり返される営みはどこか宗教的で、厳かな心持ちになります。
画像では暗い色調だけど、実際は同じ絵と思えないほど、とても明るく神々しい。
なんども見に戻って、最後は泣きそうになりました。
おまけ:
テーマ曲/大橋トリオ『Lamp』
音声ガイドに大橋トリオのテーマ曲が収録されていました。
これがほんとうに、ほんとうに良くて。
そう、まさにいま、こういう曲を聴きたかったの……そんな、静かによりそってくれる曲です。
地平線を辿って
終わらない夢の中にいよう
ああ まるで恋のように
個人的な楽しみかた
美術展は年に何回か行きます。芸術についてはほとんど何もしりません。恥ずかしながら、印象派の意味も説明できないレベルです。
でも「曲わかんなくてもライブ行く」みたいな感覚でいいんじゃないかと個人的には思っております。その場で何かを感じられたら、それだけでいいかなと。
音声ガイドは必須
音声ガイドはかならず借ります。
以前は「芸術は感性だけで理解したい」という思いがあったんですけれど、感性だけで絵を理解するのは100パー無理やなと気づきました。
説明があると絵への理解が深まるし、絵の世界感に没入できます。
事前に勉強できなくても、音声ガイドがあれば基礎知識も教えてくれます。おすすめ!
本命以外はさっと見る
一枚いちまい丁寧に見る方も多いと思いますが、わたしはけっこう飛ばして見ます。
今回も、序盤の素描エリアはささっと見るにとどめました。
体力がないために、すぐ疲れるからです。
平日の午前中でも、人気のゴッホ展となるとそれなりに人はいます。絵を見る列に並んで、一枚いちまいじっくり見ていたらものすごく疲れちゃうんですよね。
クライマックスに気力と体力を残しておくために、「序盤はさっと見て、気になる絵があればじっくり見る作戦」で見ていきました。
もったいないといえばもったいないんですけどね。
でもぜんぶをきちっと見ても、きっと9割がた忘れちゃうんです。
それならぐっときた数点の絵を脳みそに刻みつけたほうがいいかなと。そう考えております。
ゴッホ展 購入品
図録と、青山デカーボ監修の「ゴッホ缶」を購入しました。
図録のショッピングバッグは黄色か青を選べます。
図録、重いし高いし、持ってたって読まないし……と思ってたけど、持っていると意外にぱらぱら読みかえします。
そして「この絵、前回も見なかったっけ?」という確認にも。
図録、おすすめです。
「ゴッホ缶」はふたが凝ってて、すごおくかわいいです。
図録以外、ポストカードいちまい購入しないタイプなんですけれど、これは無視できなかった。サイズ感が絶妙だし、とにかくかわいい。
中身を食べたら、ペン入れに使おうと思います。
今後の巡回
ゴッホ展はこれから福岡と名古屋で開催されます。
福岡市美術館
2021年12月23日(木)~2022年2月13日(日)
名古屋市美術館
2022年2月23日(水・祝)~4月10日(日)
また、チケットは事前購入が必須です。
「時間ができたから、ゴッホ展にでも行くか」なんてノリでは入れません (このノリで行こうとしてました。あぶなかった)。
わたしがチケットを購入した翌日には、全日売り切れ。終了日間近だったから、ぎりぎりでした。できるだけ早めの購入をおすすめします。
お近くの方はぜひ!