君は世界に一人だけ

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感じたことと考えたこと

友だちならよかった イン コメダ珈琲

帰省中のたのしみのひとつに、コメダ珈琲があります。

一杯500円のコーヒーはちょっと、いや、だいぶ贅沢。ところがコーヒーチケットなるものを利用すると、支払いが気になりません。よくできたシステムです。

てなわけでコーヒーチケットをたんまり買いこみ、帰省のたびに通っていました。せこい生活を送る自分への、ちょっとしたごほうびのつもりで。

それが、半年ほど前からでしょうか。だんだん足が遠のくようになりました。

もったいない、って一度思うとだめですね。帰省したときだけの、特別なごほうびのつもりだったのに、そもそも何のごほうびか。

仕事でも家事でも「自分おつかれさま」なんてねぎらえるほど、何もしてない。すぐラクな方に逃げてさぼるくせに、何の名目でごほうびにありつけばいいのか。

コメダに行くかどうかで朝っぱらからぐずぐずして、結局やめてしまう。しばらくそんな感じでした。

今回久しぶりに行ってみたのは、そうは言っても「もしコメダがつぶれたらコーヒーチケットがむだになるじゃないか」と思い直したから。トクができなくても損はしたくない。基本がせこくできてるんだと思います。

コメダには、もちろんモーニングサービスめあてに行きます(朝以外に行くとちょっと損した気持ちになります)。

注文をすませると、男性の声が聞こえてきました。向かいに座る常連客らしき男性が、誰に話しかけるでもなく、かといってひとり言にしてはでかい声でしゃべっています。

スマホなんかあらなんでも(なくても)生きてける。わしらの時代にはテレビもなかった」

わたしはつい「そうっすよねえ」と反応してしまいました。だって、スマホなんかあらなんでも生きてけるから。

男性はぱっと顔を上げ、「そやろぉ?」と答えました。そして、このデジタル化社会に対する憤慨をまくしたてはじめました。

うんうんと話を聞くわたし。リズムのいい早口で、よどみなくしゃべりつづける男性。

めんどくさい、と感じる向きもあるでしょうが、フルリモート環境で働いているためか、誰かがわたしに向かってしゃべるだけでうれしいのです。自分で思うより、さびしかったのかもしれません。

やがて男性の友だちがやってきて、男性とわたしの顔を交互に見て「え、友だち?」と聞きました。友だちならよかった。