君は世界に一人だけ

君は世界に一人だけ

感じたことと考えたこと

2月の3冊

本を読むと、自分のものの知らなさ加減にいつだってびっくりします。先月に読んだ本も、そんなびっくり本ばかりでした。

「おとなは子どもにテロをどう伝えればよいのか」
ターハル・ベン・ジェルーン

著者のターハル・ベン・ジェルーンは、モロッコ出身の詩人・小説家。テロの本を、詩人が書いたというのがおどろきです。

本書は、テロの実情にくわしい父親が、娘の鋭い質問に答えるという対話形式で構成されています。

わたしのように、テロとジハードの区別もつかない、っていうかジハードって何? という人にもとっつきやすく、「ああ、テロって、イスラームって、そういうことだったのか」と、初歩の初歩かもしれないけど、はじめの一歩を理解できる本です。

この本をきっかけに、テロやイスラームについて理解をふかめようと、もう一段まがまがしいタイトルの本を手に取ってみたこともあります。でもテロ行為の、あまりの残虐さに気分が悪くなってしまい、読み進めることができませんでした。

読むだけなのに、心のタフネスが要求されるという経験は、たぶんはじめてです。寒さで心が弱っていただけなのか、内容がひどすぎるのか、どっちなのかわからない。

その意味でも、本書はテロ関係の本の中でもかなり読みやすく、おすすめです。子どもに向けて親が真摯に語る体裁だから、精神的な安心感もあるし。

「世界のどこかで今もテロが」というのはわかるけれども、具体的なことは何ひとつ知らなかったと、本を読んで知りました。不勉強なことでした。

▼本を読んだときに書いたエントリ。

littleray.hatenablog.com

「知らないではすまされない自衛隊の本当の実力」
池上彰

おもしろい本があると、すぐさま夫にすすめるのですが、たいていスルー。表紙をちら見して「ふーん」とだけ言って、興味を示しません。でもこの本には目を輝かせて、一気に読了していました。

著書はあの池上さんですし、本などひとつも読まないYouTube派の人間(夫)がぐいぐい読むくらいですから、わかりやすく・読みやすいのは間違いありません。

本の内容は、自衛隊の基礎知識+α。書いてあることのうち、知っている内容がひとつもなく、とにかくびっくりの連続。

いちばんびっくりしたのは、空自のスクランブル(緊急発進)。領空侵犯の阻止のために防空戦闘機が緊急発進するのだけど、あたいそんなの「ここ5年ほど一度もありません」みたいな話だと思ってた。スーパーアホでした。

年間1000回も緊急発進してたってご存知でしたか。あたいぜんぜん知らなかったよ。

www.mod.go.jp

もし自衛隊がなかったら、この国とっくになくなってたんじゃないかって思う。「スクランブル1000回ってまじで」という方にこそ、ぜひ手に取っていただきたい一冊。ひかえめに言って衝撃です。

本書で国防・軍事関係に興味を持たれた方は、「地図とデータで見る軍事戦略の世界ハンドブック」もおすすめ。

「髪のこと、これで、ぜんぶ。」
佐藤友美

先月のおすすめ「女は、髪と、生きていく」と同じ、ヘアライター・佐藤友美さんの本。髪にまつわる疑問、不安などなどについて、コンパクトに答えを提示しています。

知識がないと、そもそも何について知らないかを知らないんですよね。たとえば正しい髪の乾かしかたが、そもそもあるとは思わなかったり。そんな、髪についての基礎の基礎から学べます。

こういったたぐいの知識は、ウェブやYouTubeでも紹介されているかもしれません。でも情報がひとつにまとまっている本を一冊読むほうが早いし、自分のペースで理解できるから、やっぱ本が一番だと思う。

髪についてわかりやすい悩みを持っていなくても、美容師さんにどんなふうにオーダーすればいいのかなど、潜在的な不安がつるつると片づく感じ。髪やメイクについての本って、読むだけで前向きになれるような、そんな力があるように思います。

 

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3冊とも、去年の今ごろにはまったく興味のなかった本です。そんなふうに、「こんな本、昔は興味なかったのになあ」という本を手に取っていけたらいいな。