君は世界に一人だけ

君は世界に一人だけ

感じたことと考えたこと

とにかく、本が読みたかった

先週末、田舎に帰省しました。

花見ざんまいをもくろみ6時間かけて帰省したのに、桜どころか黄砂がやってきて、さんざんな週末でした。

帰省するたび、わたしのQOLは爆上がりします。朝起きたら/仕事が終わったら、ごはんができている。夜なんか、おすしやお刺身が毎日出てきます。明日死ぬんやろか、と毎晩思います。

そんな竜宮城的生活でも、いやなことがひとつだけあります。
テレビです。
テレビが、朝も夜もなくつねについているのです。

わたしはテレビが、苦手です。ワイドショーに分類されるものが、ことに(いやみな奴ですね)。

ワイドショーのなにが苦手かというと、過剰な演出です。発言のすべてがいちいちテロップ表示されるとか、ナレーションの大げさな口ぶりとか、何度もしつこく流すスローモーションなんかの、ワイドショー的演出にいらいらします(自分だってしゃべるときは、だいぶ過剰に演出するくせに)。

けれどもここは実家であって、わたしの家ではないので、テレビを消すことはできません。がまんの数日を過ごすと、次第に元気がなくなってきました。ちょうど大谷選手のニュースがあれこれしてた時期で、余計につらかった。

だからなのか、とつぜん本を読みたくてたまらなくなりました。

わたしは読書家でないし、本の虫でもありません。手持ちの本を引っ越しで全処分するような、愛のない人間です。

でもそのときは、とにかく本が読みたかった。音もテロップもない、余計な演出のない、文字だけが並ぶものに逃げたくなった。仕事終わり、どうしようもなく疲れていたけれど、親の車を借りて図書館へ駆け込みました。

図書館に来ただけで幸せを感じたのは、はじめてかもしれません。自動ドアを通り抜けたとき、幸福感と安堵感がどっと胸に広がりました。閉館までの10分間は、満開の桜でもながめてるみたいにしあわせでした(よほどテレビがいやだったみたいです)。

借りた本は、たいして読んでいません。だけど本を借りてからは、ワイドショーも以前ほど気にならなくなりました。

積ん読する人の気持ちが、ちょっとだけわかった気がします。読むかどうかでなく、本がそこにあることが大事、みたいな。今さらだけど引っ越しで全処分なんて、するんじゃなかったかなあ。今だから、都合よくそう思うのかなあ。

桜はまだ五分咲き。満開を見ないまま、帰ることになりそうです。開花が遅れた理由は暖冬だそう。暖冬のばか。

 

飛行機用のおやつ。ふだんは食べないドーナツです。