君は世界に一人だけ

君は世界に一人だけ

感じたことと考えたこと

遠くて、とてつもなく青い

夏休みはいつかな? と、8月に入ってもまだわくわく待っていたのだけど、そんなものはなかった。盆もくそもなく、かっきりカレンダー通り。うれしくて涙が出るね。

夏休みはないけど、働く場所をとやかく言われないのが救い。リモートワークの強みで、田舎に帰った。

帰省してまっさきにおこなうのは、海に行くこと。べつにきれいな海でないし、なんならゴミも浮いてるし、ふなむし(ごきぶりのような見ためのやつ)がうじゃうじゃいる。でも、あたりまえだけど、ここ以外の海を見ても「帰ってきた」とは感じない。まあまあな海を見て、磯くさい匂いを吸いこんでようやく、ああ、帰ってきたと感じる。

田舎に帰っても、やることはとくに変わらない。仕事、家事、甲子園。友だちにも会わない。そういえばいつからか、地元の友だちに連絡をしなくなった。最後に会ったのがいつだったか、それも思い出せない。

以前は、帰れば必ず会う地元の友だちが何人か、いた。メールや手紙のやりとりも熱心だった。これという事件があったわけじゃない。なんとなく連絡を取りそびれるうちに、フェイドアウトしてしまった。残念といえば残念だけど、いまさらという気持ちもある。卒業して何十年とか、経ってるし。

隣のまた隣の市の海

何を考えるでもなく、海をぼーと眺める。海を黙って眺めていると、どんどん内省的になる。小さな頃から、海やら夕暮れやら星空を眺めるのが好きで、たそがれて内省的になるのが好きだった。だけど、そういうのはだいぶ恥ずかしいおこないだと認識していた。たそがれたり、神秘的な気分にひたったりするのが。

たそがれるのが好きな自分のまま、誰かと話をしたことは、一度もないような気がする。なんでもかんでも茶化してふざけて話すくせがあるから、大事に思っていることでも、うすっぺらであるような勢いで話してしまう。そうしてくれなんて頼まれたわけでもないのに、自然に。

はっと気がつくと、日が暮れていた。海がほんのり赤い。雲が赤に染まっている。雲の奥の空は、真っ青。遠くて、とてつもなく青い。
地元の友だちと会うときが来ても来なくても、どっちでもいいような気がする。でももし会えるなら、こんな景色を一緒に眺めたい。海以外、行くところのなかった頃みたいに。
海の赤みが増していく。たいしてきれいな海でないから、グレーがかった、にごった赤だった。

 

いか天にみえる



#帰省中はデジタルデトックスをします(リモートワークだから完璧にはいかないけど・・・)。ブログもおやすみします。どなたさまも、よい夏をお過ごしください。