君は世界に一人だけ

君は世界に一人だけ

感じたことと考えたこと

Twitterで知り合った人と初めて会うことについて

ライブの日に、初めて、ファン友だちと会うことになった。

ファン友だちの彼とは、Twitterで知り合った。いつか会おうね、とさんざん言い合っていたのに、わたしがTwitterから離れたために、しばらく疎遠になってしまった人だ。

約束のきっかけは、ブログ。偶然わたしのブログを見た彼が、メールフォームからメッセージを送ってくれた。とても心配していた、ライブに行くたびに思いだしていた、ブログを続けていたとは思わなかった……。

このときくらい、Twitterに「バイバイツイート」しなかったのを悔やんだことはない。
Twitterはやめるけどブログは続けます、ってひとこと言えばよかった。でも「知るかよ」って思われそうで、考えれば考えるほどしんどくて、言えなかった。

メールで何度かやりとりをして、直近のライブで会うことになった。わたしもずっと会いたかったし、「会いたい」と誰かに思ってもらえることがこの先何回あるだろうと思ったら、この機会を逃すわけにはいかなかった。

ところが、ライブの日が迫るにつれ、だんだんと気鬱になっていった。

年を重ねてますます残念度が増したものだから、人と会うのが怖いというか、つらい。

思てたんと違う、なんやこれって、思われる絶対。そんなふうに言われたこともないのに、悲観的に考えては勝手に傷ついて落ちこむのを、なんどもやった。


月経前は、精神が不安定にとてもなる。当日の朝、「相手ががっかりしても、それでわたしの価値がなくなるわけじゃない、死ぬわけじゃない」とノートに書きつけた。それから「もう二度とライブで感動したり泣いたりすることはない」とも。マイナス要素はあらかじめ書いておかないと、ショックを受けとめきれないから(今考えるととても恥ずかしい)。

不安以外の感情が見当たらない精神状態でもって、会場で連絡を取りあった。柱を一本へだてた場所に、彼は立っていた。

話しかけると、ものすごく不審そうな顔でわたしを見た。焦って、えっとあのなおです、と言うと、「ああ」と表情がやわらいだ。残念そうな色をうかべていないか目をのぞきこんだけれど、少なくとも「なんやこれ」とは、ぜんぜん思っていなさそうだった。安心して、一緒にいろいろとしゃべった。

また都合つけて会おうと約束して、別れた。ふわふわした気持ちのまま入場列に並んで、ライブを観た。ライブで二度と泣くことはないと思っていたのに、泣いた(二回)。

泣いたのは感受性うんぬんというより、精神的に不安定だったからだと思う。そのせいか、彼となにをしゃべったのか、ほとんど覚えていない。低く落ち着いた声をしていて(Twitterのハイテンションなキャラクターからは想像できなかった)、人間の姿かたちをしていて、ああそうかほんとうにほんとうに生身の人間だったんだとか、そんなことに感心したり驚いたりしていた。

こんなふうに誰かと会って、楽しく話すことができるなら、なんか、人生もうそれだけでいいんじゃないか。何かを達成するとかじゃなくて、気の合う人と時々会って話せるなら、それだけで十分幸せなんじゃないか。言いたかったことの半分も言えなくても、肝心なことをちゃんと話せなくても。ふわふわした気分のまま、そんなふうに思った。