君は世界に一人だけ

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感じたことと考えたこと

ルートヴィヒ美術館展@国立美術館 (六本木)

ピカソやウォーホルの絵が見られる、となると、何とはなしに「おお、行かねば」ってなりませんか。
そういうわけで、行ってまいりました。

概要

ludwig.exhn.jp

「ルートヴィヒ美術館展」は、ドイツのルートヴィヒ美術館が所蔵する、20世紀初頭から現代までの美術作品152点を紹介する展示会です。

ルートヴィヒ美術館がほかと大きく違うのは、収蔵作品が「市民コレクターからの寄贈」である点。
館名も、市民コレクターであるペーター&イレーネ・ルートヴィヒ夫妻の名が冠されています。

www.museum-ludwig.de

現代美術はぱっと見で価値がわかりにくい。それゆえ、税金で作品を買うのがむずかしい。
市民コレクターが私財を投げうったのには、社会的責任を果たすという側面もあったようです。
(というストーリーを美術展ラストの映像作品で観ました)

このルートヴィヒ美術館、ヨーロッパ内の美術館でピカソの収蔵点数が最大級なのだそう。
ピカソなんて一点しかないだろう」と高をくくっていたら、7点も展示されていました。

会場のようす

日曜日でしたが、意外に空いていました。平日はがらがらに近いかも。
大型展覧会のわりに、週末でもゆっくり見てまわれます。

※ 会期終了まぎわは滑りこみが予想されるため、9月上旬までにぜひ。

心に残った作品

カジミール・マレーヴィチ
『スプレムス 38番』(1916年)

マレーヴィチウクライナキエフ出身の芸術家で、「シュプレマティスム(絶対主義)」を主張したことでも知られています。
(「シュプレマティスム」とは、禁欲的かつ抽象性を徹底した絵画のこと)

展示作品の『スプレムス 38番』もカラフルで小さい四角が無秩序に並ぶ、幾何学的な作品。「38」がなにを示すかはわかっていないそう。タイトルまでなぞ。

マレーヴィチの抽象的な作品は、「脱却を望む心情が反映されている」と捉えられているのですが、そう説明されてもわかるような、わからないような。

モーリス・ルイス
『夜明けの柱』(1961年)

巨大なキャンバスに絵の具を「流して」製作された抽象画。凹凸がなく、完全な平面です。

じっと見ていると、時間が止まったような心持ちになります。タイトルも素敵。

ルイスはアメリカ出身の画家です。もの静かで、内向的な性格だったそう。
『夜明けの柱』は後年の「ストライプ」期に製作されたものです。以下のリンク先で、彼のストライプがいろいろ見られます。

www.wikiart.org

ピカソ
アーティチョーク』(1940年)

アーティチョーク』の描かれた1940年は、ナチス・ドイツによるフランス占領が開始された年。ナチスの占領下にあったパリに戻ったピカソは当時、59歳でした。『ゲルニカ』製作の3年後です。

美術作品には時代背景が色濃く出るものですが、あれこれの事実を知って、ようやく作品の見方がわかりました。

ちなみにピカソのこうした作品は「キュビスム」と呼ばれています。キュビスムとは、いろいろな角度から見た物の形を一つの画面に収めた作品、とのこと (ぜんぜん、知らなった)。

 

音声ガイドは毎回借ります。今回ほど、借りてよかった美術展はないかも。ぼうっと見ても、その作品に「ほんとうはなにが描かれてあるのか」、まるでわからなかったと思います。

ピカソの『アーティチョーク』もそう。解説を聞くまで、戦争が背景となっているとは気づきませんでした。

知らないことばっかり、なんたる不勉強、はずかしや……というのはうそで、美術展へ行くたびに、学びを持ち帰れるのがうれしいのです。
はんぶん以上、忘れちゃうんですけど。

美術展グッズをすこし

今回、 はじめて美術展グッズを買いました。

『スプレムス 38番』マグネット
『夜明けの柱』ブックマーカー

目に入るたびちょっとうれしくなる、小さなグッズ。

こんな買い物も、たまにはいいものですね。


「ルートヴィヒ美術館展 20世紀美術の軌跡─市民が創った珠玉のコレクション」 

▼東京会場
2022年6月29日(水)~9月26日(月)
国立新美術館

▼京都会場
2022年10月14日(金)〜2023年1月22日(日)
京都国立近代美術館

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