君は世界に一人だけ

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感じたことと考えたこと

休日のひな型 ~まわるワニ、再び

3連休中、出かける予定はなかった。

でも連休中に「ワニがまわる展へ行った」のエントリを書いたら「一日くらい出かけなくちゃ」という気持ちになって、むりやり出かけた。

転職して以来、初の連休。「せっかくだから、休日のひな型みたいに過ごそう」と決めた。

髪を切る

午前中、髪を切る。

長いあいだ、自分の髪型を「前下がりショートボブ」と認識していた。ところがごく最近、髪が肩についているのに気づいて、びっくりした。

きちんと切りそろえられた肩ほどの髪が、内巻きにブローされていく。女みたいに見える。そうした感慨をすんなり受け入れてしまうくらいには、としを取ったなと思う。

お寿司を食べる

お昼はちょっとぜいたくに、お寿司にする。

東京で食べるお寿司は「美登利」と決めている。頼むメニューも、十年以上変わらない。

さっと食べて、さっと出る。
床に転がりたいくらい、最高においしかった。

美術館へ行く

昼下がり、六本木の国立新美術館へ行く。
まわるワニと、再び遭遇する。

電気仕掛けでくるくるまわるワニを見ていると、初回とはまた違う感覚を持つ。わたしの奥にある希望、鬱屈、自尊心、虚栄心、なんやかんやの1000の感情が、サイズ・スピードさまざまに、くるくるとまわっているようだった。

ときに大きく速く、ときに小さくゆっくり、ワニはひらすらまわりつづける。

成長や変化なんて、幻想かもしれない。わたしを構成する「成分」がかわるだけで。

それじゃあ、この巨大なワニはなに。手間ひまかけて生み出した巨大なワニを絶望と名づけるひともいるかもしれない。だけどそれは絶対じゃない、絶対じゃないことだけが絶対、ワニがまわりさえするんだし。

ところでワニを生み出した張本人が、展におられた。だれにも気づかれていなかった。

ケーキを買う

夕方、ケーキを買って帰る。

ほんとうはあまり食べたくない。けど、ひな型の休日を過ごすと決めたからには、カフェに行くだかケーキを買うだか、したかった。

食べたことのないレモンタルトを選ぶ。食べてみたら、レモンクリームが甘すぎて、すっかりしょんぼりした。

 

もっとすてきな休日を過ごすひともいる。一歩も外に出ないひともいる。

だれともくらべずに「いい休日だった」と思えるひな型が、ひとつふたつあれば、けっこう楽しく過ごせるように思う、というか、そう信じたい。