君は世界に一人だけ

君は世界に一人だけ

感じたことと考えたこと

ローコスト&ローメンテ

夏の、帰省中のこと。
甲子園中継の終わったNHKをぼーと見ていると、園芸の番組がはじまった。テーマは「農家の庭」。

農家の庭といえば、通りかかるたびに季節のお花が咲いているイメージ。じつは手間なく運用されていること、ご存じですか。

庭といえば種をまいたり苗をうえたり肥料をやったり、あれこれ手間をかけなければどうにもならない世界、そう思ってた。

ところが農家の庭は雑草を抜く程度で基本ほったらかし・あるがまま。こぼれた種が発芽して毎年 (勝手に) 咲くのです、とそういう話だった。

季節ごとに (勝手に) 花が咲く農家の庭は、種を買う必要もなく、手間もかからず、ローコスト&ローメンテナンス。庭を持つ人なら、だれでも羨ましがるんではないでしょうか。気がついたら今年もあの花が、なんて素敵ですものね。

まあ、土地なし&極小部屋に住むわたしには縁のないお話。テレビを消して、プールへゆく。30分ほど泳いだら、いそいそとサウナに入る。帰省中にしかプールやサウナには行けないので、これでもかというくらい居座る。

全面ガラス張りのサンルームで夏の空をぼーと見ていると、「もうこれが幸せでいいです」という気分が、心の底から染み出てくる。

毎週末サウナに入り、空やら木々やらを眺められるなら、それだけで幸せになってしまいそう。どれだけくり返しても、飽きずに「幸せー」とか言っちゃえそう。それはなんだか、うっとりなような、こわいような。

もくもくした夏の雲をじっと眺めるうち、農家の庭をふと思い出した。

思えば、帰省中にやることは毎年同じ。お金もほとんど使わない。それでもちゃんと幸せをかみしめられる。これってローコスト&ローメンテじゃない? つうことは、あたいじしんが、農家の庭じゃない?

これが幸せでいいです、と決めることは、ちょっとした諦めかもしれない。上には上の幸福感があって、想像もできないほど極上なやつも、きっとあるのだろうし。

それでも、去年こぼれた種がことし発芽するみたいに、くり返し同じ幸せにひたれるなら、それで十分な気がしてくる。そう考えるだけで、妙にうれしくなる。うれしくて、サンルームとサウナを何度も往復した。

それにしてもサウナに他の人がいると、目のやりどころに困ります。たまに人目なんぞ気にせずせっせとストレッチしておられる強者がいて、ますます。