パーマをかけてみた。
短いほうがいいんじゃない、という夫の言葉に、もやもやしたから。
短いほうがいい、というのは、ショートが似合う、ではない。
今のままではおばさんくさいよ、と遠回しに言っているのだと思う。
短いほうがいいんじゃない。そう言われて、最初は「じゃあ切ろう」と思った。でもすぐに、そんなにひどいかなあ、というもやもやした気持ちになった。せっかく伸びたのに。
わたしは長らくショートで、あるときショートに飽きて、伸ばしはじめた。はっと気がついたらすごく伸びていて、それでもほったらしていたらどんどん伸びた。
ロングが似合うか似合わないかでいうと、似合ってない。それならさっさと切ればいいのに切れないのは、「せっかく伸ばしたのに」という「せっかく感」が惜しいのだと思う。切るのはいつだって切れるがロングにしようと思うと何年もかかる。
どうしようと思ううち新しい服を買い、新しい服を着ると髪がさらに気にかかり、自分にあんまりお金をかけたくないみたいな気持ちがあったのだけど、思いきってパーマをかけてみることにした。
パーマといってもただのパーマでなくて、デジタルパーマ(通称デジパ)。わたしはデジタルパーマという言葉を知らなかった。
何か、プログラミング? みたいなパーマ? かなと思って、なんにも調べずに「デジタルパーマで」とお願いして、ノープランのまま「なんかいい感じでお願いします」と丸投げした。したら速攻で15cmくらい切られた。そんなに似合わなかったのねロング。
デジタルパーマはプログラミングではなかった。髪を巻く太い乾電池みたいなやつにプラグを差して、乾電池じたいを温める(100℃超え)というもので、それのどこがデジタルなのかわからないけど、そういうことだった。乾電池にプラグを差された頭は、まるでクリスマスツリーのようだった(LEDも点灯します)。
全行程が終了するのに3時間もかかった。くるくるになったのがうれしくて、帰りに寄ったスーパーの鏡でちらちら見たりした(美容院帰りに行く場所がスーパーオンリー)。
一晩寝て、朝ワックスをつけたら「寝起きのまま来た人」みたいになった。
デジタルパーマはゆるくかかるらしい。ゆるいのはいいのだけど、ゆるすぎてなんか、寝ぐせに見える。ひとことでいうと、ぜんぜんかわいくない。
ぜんぜんかわいくなってない自分を見て、実はいい感じになれるかもと期待していたことに気づいて、二重にショックを受けた。美容院行ったくらいでいい感じになれるなら苦労はないのか、それとも元がアカンすぎるのか。短い自己満足でありました。
二週間ぶりに帰ってきた夫は髪の変化に気づかなかった。もしくは気づいたものの何も言わなかった。グーで殴ればよかった。