前回F1のことを少し書いたので、ついでにスーパーGTも少々。
ちなみにスーパーGTとは、国内の自動車レースのことです。F1との違いは、車に屋根があるか・ないかです(雑)。
まずは予選から。
GT300のポールポジションは、来ました、96号車 K-tunes Racing。
何が「来た」かっていうと、このK-tunes、ドライバーが56歳&53歳の超ベテランコンビなのです。
ドライバー新田守男・高木真一・中山雄一|K-tunes racing 岡山トヨペットのレースチーム
2001年から2010年までコンビを組んでいた二人は、お互い「嫁より相手を知ってる」というほどのおしどりぶり。
お二人にはくらくらするようなエピソードも。高木さんが「最後に新田さんと組みたい」と志願してK-tunesに移籍したのです。少年まんがみたい(どちらも50代だけど)。
ポールをとったのは高木選手。まだまだ、ばりばりの現役です。そう、GTのおもしろさって、20代から50代のドライバーがひしめきあっているところなんですよね。
ほかのカテゴリに比べて選手生命が長いのが、いい。十年以上同じドライバーを応援できるって、幸せです。
GT500の予選もすごかった。コースレコードを3台の車が叩きだす、ぎりぎりのタイム合戦でありました。
ポールポジションは8号車のARTA MUGEN NSX-GT (大湯くん)。やっと来たかよという気持ち。速いのに、なんでか勝てない8号車がやっと来たから、この結果も素直にうれしい。
そして決勝。
ここSUGOは「魔物が棲んでいる」と古くから言われておりまして、とにかく何かが起こるサーキットとして有名なのです。
出ました。魔物。
特大級の魔物が、ファイナルラップにひそんでおりました。
GT300に、劇的な逆転劇が。
トップは52号車 埼玉トヨペットGB GR Supra GT。2位走行中の18号車 UPGARAGE NSX GT3を大きく引き離して余裕のゴール・・・と思いきや、最終コーナー立ち上がりの上り坂でスローダウン、車体を左右に振りながら(わずかに残った燃料をかき集めるため)必死にフィニッシュラインを目指すも、0.8秒差で18号車が先にフィニッシュ。
※ 緑の車(トップ車両)のすぐうしろにいる白い車は周回遅れなので無視してください。
吉田くんの相方、川合くんが「え? 負けたの?」みたいにきょろきょろする姿が痛々しい。
別の角度から。
表彰台、52号車のお二人はほぼ無表情でありました。
そしてレース後。
なんと、GT500およびGT300の優勝車両がそろって失格という事態に。
15年以上GTを追っかけてきたけれど、そんなん初めて聞きました。
ちなみにGT500の勝者、17号車はスキッドブロック厚み違反。GT300の18号車は、最低地上高違反。
スキッドブロック厚み違反とは、車の底面にあるスキッドブロック(たしか木の板)に規定の厚みが残ってないよ違反。レース中に削れちゃうのです。以前も同じ違反で2位の車両が失格に。いる? そのルール。ファンがしらけるようなルール、いる?
そして、魔物と呼ぶにはあまりにひどい事故が起こりました。
38周目。山本尚貴選手の駆る100号車が大クラッシュ。車体の半分がなくなり、レースは赤旗中断に。www.as-web.jp
原因はGT300の56号車 (近藤マッチ監督のチーム、ドライバーはJP) との接触。ピットインしようとした56号車のフロントが、100号車に接触したとのこと。
SUGOはピットインするにも最終コーナーからアウト側にふくらんでインに切り込まなければならないために、以前から危険だという声がありました。
だけど、いくらまわりが危険だ危険だと言ったところで、事故が起こるまでなんにも変わらないんですよね。わたしたちの、ふだんの社会生活と同じで。
二度の精密検査を受けた山本くん。無事で本当に良かった、なんて喜んでいたら、残りのレースを欠場するという事態に。
楽観視していました。緊急搬送された病院を、なにはともあれ退院したんだから。二度目の精密検査も、きっと念のため。
チームから続報がないのは、山本くんがSNSを更新しないのは、精密検査でなんともなかったからだ、と。
山本くんの欠場が、代走する若手の事実上のアピールとなるのも、ちょっと前まで同じカテゴリで争ってた平川くんがF1チームのリザーブドライバーに抜擢されたのも、そんなのレースやってたらべったりくっついてくる怨霊みたいなものだけど、レースって、人生って、なんでこうも簡単にひどいことが起こるんだろう。
今季のレースは、残り2戦です。観るけど、もちろん、でもいまはまだ、整理がつきません。
[10/3 追記]
100号車に接触した56号車に乗っていたのはJPでなく、名取くんでした。
モラルハザード適用ドライバーの発表で、きょう知った次第。ベテランのJPがあんな事故起こすなんて、と信じられない気持ちだったから、少し納得。納得というのも、おかしいけど。
ファンが撮影した接触の瞬間を見たけど、ひどい。ほんとうにひどい。
後ろ、ぜんぜん見てない。アクセルべた踏みのストレートで。
名取くんのTwitterを見たら、複雑な気持ちになった。
今回のレースでの接触により、
— Teppei Natori (@teppeinatori) 2023年9月17日
ご迷惑をお掛けしてしまった山本選手、100号車のチーム及び関係者の皆様。
そして100号車を応援しているファンの皆様、大変申し訳ありませんでした。
今後、二度と今回の様な接触がないように努め、精進して参ります。
名取くんはDMをひとつ残らず読んでいるそう。
怒りにまかせて、ひどいことを書いてるDMもあると思う。ここぞとばかりに、執拗に送ってくるのもいると思う。そういうのまで、真にうけて心を折ってほしくないと思う。
甘いだろうか。甘いってなんだ。起こってしまった事故はどうすることもできない。わたしたちは無力で、せいぜい勝手に泣くことしかできない。