君は世界に一人だけ

君は世界に一人だけ

感じたことと考えたこと

春の余白

散歩にいかなきゃ、とは思ってた。

春なんだし、もう。梅だか桜だか知らないけど、なんか咲いてるし。

だけど、ぜんぜん外に出る気になれない。めんどくさい。風だってほら、ばかみたいに強い。

そんなことをするひまはない、やらなくちゃいけないことが山のようにある。
という考えに、ずっとおしとどめられている、感じ。

だからって、家にこもって窓を拭いたり床を拭いたりブログを書いたりいろいろしたところで、「何かしないと」という焦りは、ぜんぜん消えない。

どうしてなんだろうと思う。外は、やっぱり風が強い。


その日は朝から晴れていて、うらうらとあたたかく、風も弱まっていた。

よし、散歩、行くか。
わざと口に出して、いちもくさんに靴をはいて、外に出た。

角を曲がるごとに、花の咲いた木にふらふらと近づく。近寄ってみると花はすかすか、だいぶ散っていた。

一番きれいな時に見てあげられなかった。花というのは、あっという間に咲いて、あっという間に散るのだなあ。

見ごろを過ぎた木がほとんどだったけれど、ぽつぽつ「いまが盛りでっせ」という木もあって、なぐさめられた。

盛りの木から、花びらがしずしずとおちる。風もないのに、しずしずとおちる。

なんだか、急いでばっかりだな、わたし。そう思った。
盛りの木にうれしくなったり、落ちていく花びらを見て物思いにふけったり。そんな余白をすっかり忘れてた。

冬は、つらかった。つらいことばっかりだった。
春になったからって、なんにも変わらない。

でも、「なんにも」ってことは、ないかもしれない。

はっと気がついたら、長いことつっ立っていた。だれが見ているわけでもないのに、急に恥ずかしくなって、足早に帰った。

ふつかで、まるはだかになりました