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ハレの日も、ケの日も。錦壽 (山岸厚夫) のジーンズみたいな漆器【愛用品】#7

漆器がほしい。それも、ふだんづかいできるもの。

12月に入ると、毎年そうして漆器を探しまわっていました。
なぜなら、年末年始には漆器をつかいたくなるシーンがあるから(年越しそば、おぞうに、くらいだけど)。

「山岸厚夫展」で漆器のお椀を手に入れたのは、三年前。
いらい、毎日愛用しています。

 錦壽 (山岸厚夫) の漆器

「錦壽 (きんじゅ)」は、河田塗りの産地・福井県鯖江市の本漆塗り専門工房。

その錦壽を営むのが、漆職人の山岸厚夫です。

錦壽の作品には、3通りあります。

  1. 作家・山岸厚夫作品
  2. 錦壽オリジナル作品
  3. 錦壽スタッフ作品

大きな違いは「素材」です。上から木製、樹脂製、金属・ガラスなど。

上のものほど高級で、わたしが購入したのは「2. 錦壽オリジナル作品」です。

いいところ①ジーンズ感覚で使える

錦壽作品の、なにがいいのか。

ほんものの漆器でありながら、気がねなくふだんづかいできる「ジーンズ感覚の漆器」である点です。

代表である山岸厚夫がジーンズ漆器をつくるきっかけになったのは、20年前に個展を開いたときのこと。

お客さまから手入れのことばかりを質問されたのをきっかけに、「もっと気楽に使える漆器を」と考えるようになったそうです。

キズが付くのが怖いなら、最初からキズだらけにしてしまおうという逆転の発想です
つまり使い古した雰囲気を作るのです

塗師・山岸厚夫(やまぎしあつお)

ジーンズはぴかぴかの新品よりも、履き古したのがカッコいいですよね。わざとダメージをくわえてみたりして。

山岸厚夫の漆器には、そんなジーンズに通底する感覚があります。ざっくりした塗りがかっこいいし、がんがん使える。いわゆる「ザ・漆器」にはない魅力です。

いいところ②剥げない

すぐに剥げがちな漆器。そんなデメリットも、研究を重ねて、剥げにくいうつわを生み出したそう。

たしかに、三年間毎日酷使しているというのに(なんならボウルがわりに卵を混ぜるのにも使う)、剥げはほとんどありません。

いいところ③高すぎない

山岸厚夫作品は木製のため、高級品です。

錦壽オリジナルの漆器は、一万円以下。なぜ安価かというと、素材が木製でないからです。

木粉入り樹脂製品やABS樹脂などを使い、塗りの雰囲気はそのままに価格を抑えたもの

「錦壽オリジナル」作品

樹脂製であるメリットもあります。「うっかり落としてしまったという場合でも、木製品に比べてワレにくく、凹みやヒビが入りにくい」そう。

高級品ではないけれど、モノと価格のバランスがとれた、ちょうどいい漆器だと思います。

ちなみに無印良品で扱っている漆器「河和田塗り」シリーズもここ、錦壽の作品なんですよ。

「河和田塗り」シリーズはジーンズ感覚の漆器ではありませんが、そのぶん手の届きやすい価格帯になっています。

無印良品にて漆器の販売が開始されました! - 【うるし家族】 福井県で漆器の塗り加工、販売をしています。特注も承っています。

漆器のよさ

漆器は、使うほどにつやが増していきます。

そう聞いて、最初はぴんときませんでした。でも、同じシリーズのサイズ違いを購入したとき、色つやの違いにびっくりして。

毎日使っているうち、いつの間にかつやつやに育っていたのでした。比較しようがないから、気づかなかった。

左:2年使用 右:新品(※去年撮影)

漆器の手入れ

漆器の手入れは、ひとの肌と同じに考えると、よくわかるそうです。

濡れたままほったらかされると、いやですもんね。だからしっかり拭いてあげる。
それだけで、けっこういい塩梅に育ってくれます。

(ちゃんと拭いてあげないと、水垢みたいなのが表面に残ります。とくに買ってすぐのうちは。何年も使えば、うっかり拭かずに放置しても跡になることはありません)

色どうする問題

漆器には、たいてい黒と赤があります。

わたしは「赤」を選びました。
黒だと、どうもシックすぎるのです。

ふだんの食事に赤い漆器なんて、と尻ごみするのはもったいない。

卵がけごはんでもなんでもおいしそうに見える、というところに、赤漆器の底力があるのです。

サイズどうする問題

4.5多用椀

サイズに迷ったら、4.5寸がおすすめ。万能選手です。汁ものからどんぶり、麺もいける。年越しそば、おぞうになんてむちゃくちゃ絵になります。

むしろ奥の寿司が気になる

育ち盛りの部活少年少女には足らないと思いますが、そこはおかわり対応で。

6寸多用椀

次におすすめなのが、6寸多用椀。

お椀というより、深皿に近いです。とにかくたくさん入るから、部活少年少女も満足のサイズ(たぶん)。

あえて小盛中盛でワンプレートぽくするとおしゃれです。カレーとか。参考画像を出せず申し訳ないですが。

 

それでもサイズに迷ったら、実際に新聞紙で作ってみるのをおすすめします。

とくにご家族分となると、高い買い物ですから。

 

ハレの日はもちろん、ケの日も使える、錦壽の漆器

食器なんて、これひとつでこと足りるんだよなあ、ほんとは。使うたびに、そう思います。