君は世界に一人だけ

君は世界に一人だけ

感じたことと考えたこと

わたしだけじゃない

いきなり冬が来たみたいな日が、続いた。
そのせい、かどうか、気持ちがふさいだ。

アンラッキーは重なるもので、その日は朝から大雨にみまわれた。

クライアントとの定例ミーティングというだけでしんどいのに、雨。
時間の経つごとに、雨は強まるという。早めに家を出て、現地で時間をつぶすために駅前のマクドナルドへ向かった。

ノートパソコンを開く。ぐずぐずして、閉じる。薄い紅茶をすする。ため息をつく。窓の外をぼんやり見る。

なにをしても、楽しくない。
試験が終わったらブログでもなんでもすきなようにしてやる、と意気込んでいたのに。

ブログって、なんなのさ。
雨の打ちつける窓を見ながら、うつうつと考える。

ブログって、なんなんですか。

降って晴れて、また降って晴れて乾いた窓にこびりついた汚れ程度のものでしかないんじゃないですか。

その程度と気づかないのは自分だけで。


ウーバーイーツの四角いリュックを背負った男のひとが、自転車をとめてマクドナルドに入ってくる。商品を受け取り、リュックの中にしまい、外へ出て雨のなかを走り去っていく。

自分以外の多くのひとが、やるべきことをきちんきちんとこなしている、こんな雨の日でさえ。

胸がざわざわする。つべこべ言ってないで、なにかしなきゃ、と思う。ノートパソコンを開き、はてなブログの投入画面へ飛ぶ。

なのにひとことも、なんにも、思いうかばない。

かわりに、購読ブログの更新件数が目にはいる。20+。

自分以外の多くのひとが、苦もなくきちんきちんとブログを更新していることに、ぼうぜんとする。

なんで書けんですか。わたしは。
ていうかいちいちいちいちつまづいたり悩んだり、楽しくなくなったりする時点で、終わっとるんと違いますか。

更新されたブログをしょぼしょぼと読み、はてなスターをつけていく。

あるブログに、ぶっと吹きだす。あるブログでは、しんみり。
ブログって、いいな。ちょっと、元気になる。

そして、低気圧で調子を崩している、というひとがちらほら、いた。

はっとした。
もしかして、わたしの「これ」も?
低気圧って、そんなんで、だめになるの、人間。

関係ないかもしれない。低気圧に便乗してるだけかもしれない。
わからないけど、しんどいのはわたしだけじゃない、とわかっただけで、救われた。



自動ドアが開いた瞬間、ひるんだ。すっごい、どしゃ降り。
なんでもないふりをして、傘を広げて外へ踏み出す。パンツの裾とパンプスが、すぐに濡れそぼる。

かたちも色もさまざまな傘が、道をゆきかう。
こんなどしゃ降りに、なんと多くのひとが出歩いていることだろう。ゆかなければならない場所へ向かって、こんなにも多くのひとが。

だれもが毎日をきちんきちんと生きられるわけじゃない。つまらないことでつまづいて、ふと周りを見まわして打ちひしがれる日もある。わたしだけじゃ、ない。

時計を見ると、いい時間だった。傘の合間を縫うように、ぐしょ濡れのパンプスでどんどん歩く。

ウーバーイーツのひとは、食事を無事に届けられただろうか。そうだといいなと思う。