君は世界に一人だけ

君は世界に一人だけ

感じたことと考えたこと

妄想が現実になった時、わたしはただの赤べこだった

長年、ほんのり夢みていた妄想が、現実になりました。

妄想といっても、非クリエイティブな、「憧れの人に偶然、街で遭遇する」という、よくあるアレです。

モータースポーツ好きのわたしにとって、憧れの人とはレーサー。レーサーに会いたければサーキットとかイベントとかに行けばいいんだけど、そうじゃなくて、「偶然」「街で」出会うことが、この妄想の最重要ポイントなのです(わかってもらえますよね?)。

そう、雲ひとつない休日の午後、街のどこか素敵な壁に、レーサーがもたれていて……道行く人は、彼が日本のトップレーサーとは気づかずに通りすぎていく。レーシングスーツを着ていなくても、サングラスで目が隠れていても、わたしには一目で彼だとわかる。立ち止まったわたしの視線に、彼が気づく。雑踏の中で、二人の目が合う。

少女マンガでも胃もたれしそうなその妄想が、きのう、まさかの現実になったのでした。

しかし長年の妄想は出会いのシーンでピーク&エンドロールだったため、そのあとのシミュレーションが一切なく、へどもどしただけで終了。

リラックスした笑顔で「レース、お好きなんですか」って、尋ねてくださったのに。
何かを尋ねられるなんて夢にも思わなかったからって、赤べこみたいにぶんぶん首を振って「は、は、はい」みたいな、そんなていたらく。

そうじゃない。そうじゃなくて、長年のファンでしか知り得ない何か深い言葉を、スマートに繰り出したかった。

それなのに、「がんばってください」なんて、ほとんど意味のない、うっすい言葉を絞り出しちゃった。

言うべきだった言葉は、あとから苦もなく湧いてきて(「表彰台おめでとうございます。完璧なレースでしたね!」、これを言わずして何を言う)、ちょっと落ち込みました。

妄想が現実になったからって、即天国ってわけにもいかないですね。

もしまた出会えたら、その時こそ、脱・赤べこ
来たるべき邂逅のために、妄想を真剣に育てておこうと思います。