東京ステーションギャラリーで開催中の『ハリー・ポッターと魔法の歴史展』に行ってまいりました。
所要時間は1時間ほど。事前チケット制だからか、休日にしてはゆったり見られました。
ミソなのは「ハリー・ポッター展」ではなく、「ハリー・ポッター」と、作品の背景となった「魔法の歴史」の展示会という点。
ハリーが通ったホグワーツ魔法魔術学校の科目に沿って、大英図書館の所蔵品を中心に、古くは4世紀にまで遡る貴重な資料の数々を展示します。
ハリー・ポッターが好きで、かつ魔法とか古文書なんかが好きな人にはたまらない展示会だと思います。
わたしはハリー・ポッターを観たことがありませんが、それでもなかなか楽しめました。
J.K.ローリングの生原稿
なんといっても、目玉はJ.K.ローリングさんの生原稿。日本初公開だそうです。
びっくりしたのは、いずれも「走り書き」のような体裁だったこと。頭の中で展開されるスピードに、ペンが追いつかない!という感じでした。
なかには「ハリー:'X'」といった記述も。台詞などの細かな内容は後回しで、先へ先へと書きすすめられたのがわかります。
各章と概要がまとめられたノートも、とにかくラフ。
手書きのラインはざっくりだわ、不要なラインはぐしゃぐしゃって消してるわ。児童文学の歴史を変えた大作が、こうしたラフな種から生まれたのにおどろかされました。
ちなみにJ.K.ローリングさんは絵も上手で、味のあるスケッチがいくつか展示されています。
いずれもポストカードにできそうな、オシャレなイラストばかりでした。
ジム・ケイの原画
イラストといえば、ハリー・ポッターのイラスト版を手がけたジム・ケイの絵はすごかったです。
ドラゴンの卵の水彩画。いろんな種類の卵 (羽に覆われたの、炎に包まれたようなの、真っ黒なの) がバリエーション豊かに描かれています。
《ダイアゴン横丁のスケッチ》にも感動。大判なスケッチは、細かなところまで創造力が爆発してます。
ジム・ケイのスケッチやイラストには、人間のクリエイティブの限界ってどこにあるんだろうと思わされました。
「あっちの世界」と「こっちの世界」の境目があいまいな時代
「賢者の石のつくりかた」が記された、4メートルもの巻物『リプリー・スクロール』はまさに圧巻 (石の生み出しかたがバレないように若干ごまかして記しているのだそう)。
そもそも賢者の石って、ハリー・ポッターだけのものではないのですね。中世ヨーロッパの錬金術師が、ほんとうに作り出そうとしていたモノのようです。
魔法に関する何百年も前の本とか、「ドラゴンにかまれたときはこの草の汁を使え」みたいな記述とか、そういうのが現実に残されているのが不思議で不思議で。
「あっちの世界」と「こっちの世界」の境目があいまいな時代があったということに、終始おどろかされっぱなしでした。
最後に、J.K.ローリングさんの直筆メモつきの初版本が。
うろ覚えなのだけど (ものすごく疲れていた)、こんなメッセージが書き記されていました。
「私は秘密のメッセージを物語に隠した。何が書かれてあるかは、私にしかわからない」
* * *
どうしてファンでもないのに展示会に行ったのか? というと、ほかに良さげな美術展が見つけられなかったのと、「まったく興味のないものにも触れてみよう」と思ったから。
行ってみて良かったです。ときには自分の知らない世界に触れるのも、いいものですね。
ハリー・ポッターのファンでない人にもおすすめ。非日常のひとときを味わってください。
ハリー・ポッターと魔法の歴史展
会期 | 2021年12月18日(土)~2022年3月27日(日) |
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会場 | 東京ステーションギャラリー |
開館時間 | 10:00~18:00 ※金・土曜日は20:00まで ※入場は閉館の30分前まで |
休館日 | 月曜日 |
チケット | 日時指定の事前購入制。ローソンチケットにて購入・発券。 |
入館料 | 一般2,500円、高校・大学生1,500円、小・中学生500円 |