君は世界に一人だけ

君は世界に一人だけ

感じたことと考えたこと

その場に居合わせた人たちと一緒に。

春だし、なんだかやたらねむくてだるいし、さみしいので、帰省することにしました。

それはいいのだけど、搭乗日を確認すると、3月22日とある。WBCの決勝戦やん。

WBC
開幕前は気にもとめなかったくせに、日本代表が勝ちすすんでゆくにつれ、にわかに野球ファン化したわたし。去年のプロ野球優勝チームも知らないのに「村上が~」とか言っちゃったりしてね。ワールドカップん時と一緒。

にわかでも、決勝は観たい。ぜったい観たい。最初から最後まであまさず観たい、けど、飛行機にのるからリアルタイムは無理。

しかたないので、実家で録画観戦しよう、それまではぜったいにぜったいに情報を入れないようにしようと心にかたく誓っておりましたら、羽田空港の出発ロビー。それはもう大騒ぎのあんばいでありました。

ロビーに設置されたテレビを横目に見て、「見るもんか」と素通りしたにもかかわらず、盛大な歓声と拍手が、二度も。

拍手には違いがあると、はじめて知りました。「ことが起こった」拍手と、「勝った」拍手って、ぜんぜん違うんですね。

(「ことが起こった」拍手は8回表でダルビッシュが抑えた瞬間のものだったと、録画を見て知りました)

勝った瞬間の拍手ってね、尾を引くんです。だらだらと叩いてる。叩いてる本人も自分が叩いてることに気づいてないような、心がスタジアムに飛んじゃってるような、ぼんやりした感じ。

そんなだらだら拍手を聞いたとき、ああ、勝ったんだ、ってわかっちゃった。

こんなふうに知らされるくらいなら、最初からおとなしくロビーでテレビ観戦すればよかった。
録画であますところなく観るのにこだわるんじゃなかった。その場に居合わせた人たちと、おおいに盛り上がってだらだら拍手すればよかった。

ものすごくがっかりしたけれど、飛行機が田舎に向けて飛びたつころには、「でも、まだわからないし」と気持ちをもりかえしていました(切り替えはわりと早いです)。

ほんとのほんとに勝ったか、わかんないし。もしかしたら判定がくつがえって、まだいろいろしているのかもしれないし。とにかく目をつぶって情報を見ないようにしないと、と。

したら、機内アナウンスが「本日、ワールドベースボールクラシック決勝において、日本がアメリカを破り、世界一に輝きました!」と明るくはきはき告げてくれました。

だまって、その場に居合わせた人たちと一緒に、ぱちぱちと拍手しました。

(決勝、すんばらしい試合でしたね。結果を知っているのに、録画観戦なのに、はらはらしっぱなし。大谷主演の映画のようだったなあ、終わってみれば)