君は世界に一人だけ

君は世界に一人だけ

感じたことと考えたこと

不埒さがないと、ものたりない

すきなものにたいする批判は聞きたくない。不愉快だ。そう感じる人は、多いと思う。

ところが世の中にはその逆、という人がいる。わたしもそう。

根っこにマゾ的なものがひそんでいるのか、批判やネガティブなコメントを聞くと、ちょっとうきうきしてくるのは、これいかに。

たとえば、遊びに来た友だちが、壁に貼ってあるK-POPのイケメンを見て
「この子、鼻低いよね」
と言ったとき。

よくぞ気づいてくれた! わたしは感激して友だちの手をとった。
そう、そうなの。そうなのよ。もっと言って。

「顔も左右非対称だし。なんかこう、ちょっともったいない感じ」

友だちはわたしの手をさりげなくどけながら、続けて言う。
うんうんうん。わたしは小刻みにうなずく。

「でも、だから好きなんでしょ」

うん! わたしは元気よく返事をする。

なんというか、ネガティブな言葉を聞けば聞くほど発熱する、感じ。

どんなネガティブを聞かされても、ぜんぜん平気。そういう考え方もあるんだ、なるほどなるほどとぜんぶをばりばり咀嚼して、栄養にしてしまう。

100パーセントなのは、いやなのだ。
どこかに負や矛盾や不埒さがないと、ものたりない。

そりゃあ、そうやってのんきに言っていられるのは外野だからであって、当人からすればそれなりにコンプレックスだろうし、突然、お顔が西洋化しないともかぎらない。いつか心が折れて。

完璧じゃないから、こんなにすきなのにな。

そんなことを考えながら、トイレの壁に貼った写真を眺めて用をたしているうちに、もう年末。