週末がくるたび、せっせとケーキを焼いています。
ケーキといっても、デコレーションをほどこす立派なものではなく、混ぜて焼くだけの、手軽なケーキです。
レシピは『もうひとつ食べたくなる 軽やかな焼き菓子』(著/吉川文子) の「バニラケーキ」。
りんごや洋梨、アーモンドスライスをのせたアレンジレシピを、ばかの一つ覚えみたいに焼きまくっています。
一度「これ」ときめたら、すぐに執着するたちで、2ヶ月で10回以上、同じケーキを焼きました。
なのに、いまだ完璧なものが焼けない。火が通りすぎていたり、微妙に生っぽかったり。
どうして、と思うわけです。
そういえば、10年以上前、シフォンケーキに執着したときもそうでした。
焼いて焼いて焼きまくったにもかかわらず、ただのいちども、完璧に焼けなかった。
オーブンが悪いんだ。そうきめつけていました。
オーブンは、夫がひとり暮らしをはじめたときから使っているもの。そんなおんぼろオーブンだから、ちゃんと焼けないんだと。
ぼろオーブンのせいと証明するため、元パティシエの妹を呼びつけ、同じ条件(材料、用具、オーブン)でシフォンケーキをつくってもらいました。
妹は材料の入れる順をまちがえたにもかかわらず、もうおわかりですね、完璧に焼き上げしまったのです。
腕、だった。ただただ、純粋に、腕の差。
わたしが褒めちぎるのを、妹は「こんなん、だれでもつくれる」とそっけなく言いはなちました。
妹のつくったシフォンケーキは、びっくりするくらい、衝撃的においしかった。
まさしく、プロの味。材料からなにから、ぜんぶおんなし条件だったのに。
しゅんとして、お菓子なんか二度と焼かない、そう決意しました。
それからしばらくして出会ったのが、吉川文子先生のレシピ本でした。
吉川先生のレシピはバターのかわりにオイルを使います。手順もわかりやすくて、かんたん。
あっという間にパウンドケーキ作りに執着し、週末ごとに何本も焼くようになりました。
10年近く経っても、まだ、焼きすぎ・生焼け。
腕がまったく上がらないのは、これいかに。
人生のささやかな楽しみのために打ちこんでも、たいして腕が上がらないのは、ブログも同じ。いつまで経っても、生焼け。