やらなきゃいけないことは、山積み。
なのに、つい、見て見ぬふりをする。忘れる。
どうすれば、モチベーションを高められるんだろう。
どうすれば、何事もやる気をもって取り組めるんだろう。
なにか、法則があるはず。
だらしない自分を、きちっとコントロールできる法則が。
『モチべーションの心理学』という本を読んで、そんな法則はないし、むしろちょっとだらしないくらいが、人間のデフォルトじゃない? と、わかりました。
モチベーション心理学の入門書
『モチべーションの心理学「やる気」と「意欲」のメカニズム』
『モチべーションの心理学』は、モチベーション心理学の入門書です。
本の目的は、「モチベーションに関する代表的な心理学理論を整理して紹介することを通じて、やる気や意欲という身近な心理現象に関する理解を深めてもらうこと」。
モチベーション、やる気、自尊心、自信、成長。これらへの理解が深まり、自分への理解も深まる、そんな一冊です。
以下、とくに共有したい部分をご紹介。
やる気は分野によって変わる
同一人物であっても、やる気のある分野とない分野があるのが普通で、生まれてこの方、何事に対してもやる気がある(あるいは、まったくない)という人はごく稀だろう。
「やる気のある人」と「ない人」がいるのでは、ない。
同じ人でも、対応する分野によって気分はころっと変わる。
言われてみればそのとおりで、わたしも仕事やブログやイケメンには意欲的に取り組むけれども、家事や季節行事にはまったくやる気が出ません。そして、その逆という人も、きっといるはず。
こういった心のメカニズムというか、原則を知ると、自分に対する感じ方が変わるものですね。
意思力には限りがある
意志力は筋肉と同様に使うと疲労する。
(略)
意志力をはたらかせるには心のエネルギーが必要だが、その量には限りがあるため、使うと枯渇してしまい、それ以上意志力をはたらかせられないのだ。
お聞きになりましたか。
だから夜にネットショッピングしちゃだめなんですね。意志力、残ってないんだもの。
意志力をはたらかせるには、心のエネルギーが必要。
逆にいえば、意志力がはたらかないのは、心のエネルギーがそれだけ枯渇しているといえます。
そんなときは自分を責めるのではなく、「心のエネルギーがなくなっているから」と知ると、気持ちが少しはらくになるかもしれません。
自尊心の高さを決めるもの
自尊心って、なに。
そう聞かれたら、わかるようで、いまいちわからない。
本によると、「『自分が自分自身を認め、受け入れられるか』という問題をめぐるキーワード」で、「『これでよい』という感覚を意味している」とのこと。
自分をすっと受け入れられるときもあれば、受け入れがたいときもある。
そのときによって、自尊心の高さは変わる気がします。
自尊心の高さは、「願望に対する達成の割合」で決まるのだそう。
自尊心 | = | 実際の「成功」 |
主観的な可能性としての「願望」 |
つまり自分が望むだけの達成(実際の「成功」)が実現されていればいるほど、自尊心は高くなる。
(略)
本人の望みがそもそも低レベルであれば、実際にそれほど成功していなくても自尊心は高くなる。人がうらむような成功を収めている人の自尊心が、必ずしも高いとは限らないのはこのためである。
とほうもない高い目標を掲げながら、同時に自尊心を高く保つのは、どだい、むり。
自尊心を持つためには、願望を低いレベルにするのがよい、というかそれしかないのだなとわかりました。
自尊心については「当人にとって何が自尊源なのかという点を見極めることが重要」で、自尊源のカテゴリーが17種、紹介されています (P172「自尊源のカテゴリー」)。
これを眺めるだけでも、「自分の自尊源はなにか」という、価値観を問い直す機会になります。
自己決定理論(=今日を代表する成長説)
人が成長するには、最も基本的で重要な3つの欲求が「同時に」満たされなければならないのだそうです。
基本的心理欲求理論:
①コンピテンスへの欲求
(環境と効果的に関わりながら学んでいこうとする傾向性)
②自律性への欲求
(行為を自ら起こそうとする傾向性)
③関係性への欲求
(他者やコミュニティと関わろうとする傾向性)これらの欲求を同時に満たすような条件が、人を意欲的にし、ウェルビーイングを促進し、パーソナリティーを統合的に発達させるのに対し、これらの欲求が満たされないと意欲や健康は損なわれる。
「これらの欲求が満たされないと意欲や健康は損なわれる」にはショックを受けました。意欲はまあわかりますが、健康まで損なわれるなんて。
成長というのは、他者の存在に関係なく、ひとりで勝手にこつこつやればいいものと考えていました。成長って、そういうことじゃないんですね。
3つの欲求を(それなりに)満たせる場所として、もしかしたらブログがあるのかもしれないな、と思いました。心のよりどころ、というか。
* * *
本はふせんだらけになりました。
やる気がでなくても「そういうもんなのよね」と思えるようになったのは、収穫です。
紹介したのは、ほんの一部。ほかには、
「幸福な生活」と「有意義な生活」は重要な点で異なっている、とか。
モチベーション=習慣 × 動因。この2要素が強ければ強いほど行動が生じやすい、とか。
習慣には行動習慣と心理習慣がある、とか。
興味のある方はぜひ手に取ってみてください。
自分への理解が深まる、あるいは救われるきっかけになると思います。