スーパーGTがすきです。
スーパーGTとは、ちょっと変わった国内最高峰の自動車レース。
何が変わっているかというと、
① 「GT500」「GT300」の2クラスが同時混走
② ドライバー交代がある
③ 勝つとウェイト(重り)を載せられる
という、障害走ぽいところのあるレースなのです。
このGT最終戦が先週末、モビリティリゾートもてぎ(栃木県)で開催されました。
▼GT500
▼GT300
GTの最終戦は、ここ数年、ドラマチックすぎるレース展開が続いています。
今年こそ順当にいくだろうとたかをくくっていたけれど、もちろんただじゃ終わらなかった。すんごかったです。
奇跡のチャンピオン
今回はGT300クラスに奇跡が起こりました。
300のポイントリーダーは、近藤真彦監督(マッチ)率いるコンドーレーシング 56号車。
対する2.5ポイント差のスバルBRZ 61号車は、予選でマシンをクラッシュ。チャンピオンの可能性は、かぎりなくゼロになります。
56号車にとって願ってもない、「普通に走ればチャンピオン」というらくちんな展開……とはならないが、GT。
決勝レース後半、56号車のタイヤが「脱輪」してしまいます。
緊急ピットインを余儀なくされた56号車はチャンピオン争いから脱落、上位を走行するグリーンブレイブ52号車、タナックス10号車に勝負は絞られます。
ところが、レース残り10周あたりから、56号車と同じヨコハマタイヤを履くランボルギーニ2台が、上位の2台をそれぞれ猛追。
ランボ87号車が2位走行の52号車を仕留めると、もう一台のランボ88号車がファイナルラップ直前に10号車をオーバーテイク。
この瞬間、19位走行中の56号車がチャンピオンに輝きました。
「僕たちを守る空の星があったんだと思う」
56号車のステアリングを握っていた、J.P.オリベイラの詩的なコメントにじんとします。この感覚は日本人にはないかもしれないなあ。
GTコンビ愛
ふしぎなことに、最終戦ではいつもGTのコンビ愛に打たれます。
今回はGT300、スバルBRZ 61号車の井口君と山内君のコンビに打たれました。
ランキング2位で最終戦を迎えた61号車。予選Q2、コースレコード間違いなしというスーパーアタック中に、山内君がマシンをウォールにクラッシュさせてしまいます。
ドライバーのミスではなく、不運。それでも山内君は自分を責めます。
みんなの大事なBRZを傷付けてしまって、ホントにごめんなさい。
— 山内 英輝 (@hidekiyamauchi) November 5, 2022
沢山の声援に応えきれずに、ホントに申し訳ない気持ちで一杯です。
今メカニックのみんなが明日に向けて修復してくれてます。明日最後まで諦めずにチェッカーまで全力で攻め続けて頑張ります。精一杯頑張ります。
そんな山内君を「ポールを獲るためにアタックしてくれた」とフォローする、相棒の井口君。
山内選手はポールポジションを獲るために、気迫あるアタックをしてくれました‼️今、メカニックさん達が懸命に修復してくれています。明日は、最後まで諦めずにチームメンバーとスバルチームの底力見せます。 pic.twitter.com/eL4Sv1e1CC
— TAKUTO IGUCHI / 井口卓人 (@takuto_iguchi) November 5, 2022
力なくピットに戻ってきた山内君を、井口君がぎゅっと抱きしめていました。
なんとか決勝までに修理は間に合ったものの、トラブルを抱えた61号車は奇跡を起こせず。
それでも、必死に戦ったスバルのふたりは決勝後、しっかり抱き合ってお互いを称えます。この写真、わたしはすごく好き。
スタンレー100号車のさりげないコンビ愛にも感動しました。
ほとんど望みのない状態で決勝を迎えたスタンレー。ポールポジションを獲ったら、まるでチャンピオンを決めたかのような、この盛り上がりっぷり。
翌日の決勝レースも、この勢いは続きます。首位を守ったまま牧野君がピットイン。マシンを降りた牧野君のヘルメットを、山本君がぽんっと軽く叩きました。よくやった、あとは俺に任せろ、というふうに。
ちょっとしたことだけど、こんな「ぽんっ」はなかなかお目にかかれません。応援に力が入ります。
結局、一度も首位を明け渡すことなく、スタンレーは最終戦を優勝で終えました。
うまくいったときは喜びをわかちあい、うまくいかなかったときは励ましあう。そんなGTコンビ愛を見るたび、胸を打たれます。
って、ずっと同じこと言ってる気がするけど。
2022年シーズンも、めちゃくちゃおもしろかった。スーパーGTは世界最高のエンターテイメントだと思います。ほんとに。
来年は4月15日開幕です。
どうか、どうか61号車と100号車のコンビが続投でありますように。なむなむ……。