君は世界に一人だけ

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感じたことと考えたこと

「自分はとても弱い人間」スーパーフォーミュラ、第6戦でチャンピオン確定

僕は弱い。タイトルを獲得した野尻くんは決勝レース直後、目に涙をためてそう言った。

スーパーフォーミュラ第6戦。最終戦を前に、今季のチャンピオンが決まった。
おわってみれば、今シーズンは野尻くんの圧勝。
それでもこのチャンピオンは、喜びを爆発させる一方で、"コンサバな走り" で攻めきれなかった自身の弱さも認めた。

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路面の濡れたツインリンクもてぎ。今後雨の予報はないものの、スタート直後は完全なウェットコンディションだった。

各マシンが水しぶきを上げるなか、3位スタートの野尻くんが後続にパスされていく。

ここでカッとなって、レースを終えるわけにはいかない。譲るしかない。タイトルのかかったレースで無理はできない、しかもこんなウェットコンディションで   チャンピオン目前のレースって、たいていそんなものだとわたしは思っていた。無理したあげく、万が一タイトルを逃すなんてことになったら遠からずシートとスポンサーを失う。

レースは荒れた。セーフティーカーが3度も導入され、5台がリタイア。
荒れ模様のレースでなんとか5位を死守した野尻くんが、今季のチャンピオンを獲得した。

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国内最高峰のスーパーフォーミュラの頂点に立つというのは、これはじつにたいへんなことであって、つまり「この国で最も速いレーサー」となるわけです。

チャンピオンインタビューで、野尻くんは眠れなかったこと、劣等感にさいなまれていたこと、過去のチャンピオンがどれほど凄いかを身をもって知ったことを語りました。

この国の頂点に立った男とは思えない、苦しい心情の吐露にはおどろかされたし、自分の弱さを認める姿に、純粋に胸をうたれました。

過去のチャンピオンは凄い。
だけど、自分の弱さをさらけだす野尻くんも凄いし、めちゃくちゃカッコいい。

"自分はとても弱い人間"。わたしも、自分の弱さを認められる人間でありたい。

終戦鈴鹿で野尻くんの100パーセント、彼の納得のいく走りが見られますように。

 

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ところで前年チャンピオンの山本くんは、まさかの作戦ミス。かつ、セーフティーカー明けにクラッシュ&リタイアという結果。

これがレース。
あらためてそう思わされるSF第6戦でした。