君は世界に一人だけ

君は世界に一人だけ

感じたことと考えたこと

ベランダと本と秋の空

天気のいい午前中、ベランダで過ごした。

L字のベランダはそれほど広くないし、床の色がねずみ色なのも気に入らない。ただ景観だけはなかなかのもので、この部屋に決めたのも、この見晴らしの良さだった。

コーヒーをつくって、それを飲みつつ、秋の空を眺める。
風が気持ちいい。かすかにきんもくせいの匂いがする。

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ほとんどなにも考えずにぼおおおおっと過ごしていると、自分がそうした時間を必要としていたことに気づく。

空っぽになるよりも、詰めこむほうを選んできた。自分がどんなふうに過ごしたいか、どんな時間を必要としているかは、わかっているようで意外と気づかない。

* * *

椅子にすわって、図書館から借りてきた本を広げる。

まじめな顔して本を読む。なのに、いっこうにすすまない。同じ箇所を行ったり来たり。

むずかしい。っていうかめんどくさい。なんにも理解してないのに、手が勝手にページをめくっている。むずかしいから集中できないのか、集中できないから理解できないのか。目で字を追いながら、ぜんぜんちがうことを考えはじめる。お昼、なに食べようとか。

ベランダはたぶん、むずかしい本を読むのには向いてない。詩集だとか、小説だとか、そういう創造的なものを読むほうがいい。人生戦略なんてビジネス本じゃなくて。

* * *

本から目をあげて空を見ると、ついさっきまで一面に広がっていた雲がなくなっていたりする。

女心と秋の空、とは言ったものだと思う。わたしの心変わりは、昔からあっという間だ。なにかを好きになっても、3ヶ月ともたない。

だけどほんとうに好きになったら、長い。雲が消えても空がなくならないように、わたしそのものと同化する。それなしにはもう、わたしはわたしとは呼べない。

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ベランダで過ごすのに、10月は最高なシーズンだ。
冬が来ちゃう前に、とことん味わいつくしたい。