君は世界に一人だけ

君は世界に一人だけ

感じたことと考えたこと

どうか忘れないで、信じて | 貴水博之 L&V TOUR 2021 Glad to meet you ! @Zepp Tokyo

2021年9月24日、東京・Zepp Tokyo
貴水博之のライブツアー『HIROYUKI TAKAMI L&V TOUR 2021 Glad to meet you !』のツアーファイナルに参加した。

accessのライブへは何度か行ったけれど、HIROのソロライブへの参加は初。
accessとは違う方向性のライブはとにかく楽しかった。一見さんお断りな雰囲気かもしれない、なんてびびってたけど、ひたすらラブでピースでハッピーなライブだった。

※いち個人の、脆弱な記憶によるレポートです。誤りがありましたらごめんなさい。

会えてよかった、会えてほっとした

「元気ですかトーキョー!」

2曲を歌い終えたHIROは、明るい声で客席に呼びかけた。
約2年ぶりとなるソロツアー。これまでのライブを振り返り、「毎回、”お客さんが少ないかもしれない” と覚悟して本番に臨んでいた」とコロナ禍の心境を語ったかと思うと、「今日は38000人も集まってくれてありがとう!」と落としてファンをしっかり笑わせた。

来場への感謝を述べ、「会えてよかった、会えてほっとした。まさに "Glad to meet you !"」とツアータイトル『Glad to meet you !』にこめた意味を説明、ファンに会いたくてたまらなかったという気持ちを伝えてくれた。

ところでオープニング曲の『Why not?』にはこんなフレーズがある。

君に会う時だけは 思い切り笑いたい

収束の見通しがつかないなかでのツアー開催は、想像をこえるストレスだったに違いない。ツアーが中止になるかもしれない、クラスターが発生するかもしれないといった不安が、常についてまわる。

それでも、いや、だからこそライブで会うときだけは思いっきり笑いたい、会えた喜びを分かちあいたい。『Why not?』には、そんなHIROの気持ちがこめられていたように思う。

会えた喜びを語るいっぽうで、”会えなかった” ファンへ向けての感謝も忘れない。HIROは大きく息を吸い、かなたにいるファンの一人ひとりへと呼びかけた。
「応援いつもありがとう! また会える日を楽しみにしています!」

この世界に好きな人がいるということ

HIROの魅力はといえば、その人柄。そしてものすごく楽しそうに歌う姿があげられる。
26年ぶりにaccessのライブへ参加したとき、あまりにHIROがナチュラルで、ラブでピースでハッピーなのにおどろかされた。

ツアーファイナルでもHIROスマイルは爆発。うれしい、楽しい、みんな愛してるぜ!、そんな思いがびしびし伝わってきた。

そのほか、今回とくに印象的だったシーン:

お立ち台から飛び降りてクルッと振り向く身のこなしとか (#2 Thin Moon)、
胸に当てた手を前に差し出す瞬間に唇をすこし舐めるとか (#8 GAME CHANGER)、
半壊したマラカスの "壊れてない側" を常に見せるプロ意識とか (#10 Mistake)、
歌い終わったあとに体を傾けてギターを弾く姿とか (#12 Critical Calling)、
飾らないシンプルな言葉で語るとか、

語りたいことはたくさんあるのだけれど、ライブ中にもっとも強く感じたのは「この世界に好きな人がいるって、なんてすばらしいんだろう」だった。

『I&I』のスキャット後に、HIROが軽く踊ってターンしたとき、心からそう思った。そして「どうだ、いい男だろう、わたしはあの男がものすごく好きなんだ」といった正体不明の宣言までわきあがってきた。

心のバランスを崩したい人はいない。あのひとが好きだという、どこまでも純粋な気持ちに圧倒されると逃げ出したくなる。なのに目を離せない。『I&I』以降、そんな困った状況におちいってしまった。

この世界に好きな人がいるって、なんてすばらしいんだろう。しかもその人はカッコよくあるために日々努力している。なのに「毎日がんばってます」感は見せない。
それが "魅せる" ってことなんだと、あらためて気づかされた。

そしてその瞬間は訪れた

ライブ後半、HIROはハウスチェック柄のたっぷりしたシャツで現れた。

この、神の与えしシャツがとんでもなく罪つくりな物品であって、どう語ればそのシャツの罪悪さを100パーセント伝えきれるかわからない。

まずもってそのサイズ感がいけない。大きい、すごく大きい。何なら二人羽織でもうひとり入れそうなくらい大きい。わたしは今すぐかわいい子猫ちゃん、比喩ではなくほんものの子猫に生まれ変わってその中で泳ぎたかったし、実際に泳ぎまわる妄想で曲どころではなくなった。ファンを悶絶死させんとするHIROの戦略にまんまとはまってしまうところだった。

たんなるサイズオーバーなシャツではない。そういうデザインであることは100も承知で言わせていただくけれど、その萌え袖はなにごとか。あざとい。わたしは出戻って1年ていどのひよっこライトファンだけれど、HIROがこれほどあざとい男だとは知らなかった。

ボタンは当初3つ外されていた。ご存知のとおり、ボタン3つでは何も見えやしない。2つなら諦めもつくけど、3つだと神の手による事故を期待せずにはいられなくなる。

13曲目『Everyday』から間髪入れずに『Wish in the dark』へ突入したときだった。
『Wish〜』は曲調も、HIROの動きも激しい。いつのまにかボタンがひとつ外れている。チラリズムから、急きょ見ほうだい状態へと突入したのである。

HIROは胸に、女性用のラメ入りリキッドファンデーションでも塗ってるんじゃないだろうか。でなければ、人類の皮膚があんなにも輝くはずがない。

照明を乱反射する胸板。動くたびに、シャツからチラチラ見える胸の隆起。筋トレをしていると語っていたけれど、なんたる性的かつ魅惑的な体つきかと思う。

もはや何しにライブへ来たのかわからないレベルで、ボタンの外れる瞬間をじりじりと待ち焦がれている自分がいた。

そしてその瞬間は訪れた。

2コーラス目のサビあたりだったように記憶している (視覚以外の記憶がない)。ボタンが、さらにひとつ外れている。羽のロングチョーカーが引っかかって、外れちゃったのだ。

歌のあいだ、HIROはシャツのボタンが何個外れてるなんて気にもとめない。激しい振りで歌いつづける。胸板どころか、その周辺エリアが大全開になる。

HIROが腕を勢いよく振り上げる。シャツが定位置から大幅に、大胆に、ためらいもなくポジショニングを変える。今や空前絶後の丸見え状態である。

わたしはついに見た。生涯拝めやしないと思っていたものを、両の目でしかと見た。

曲も歌も聴こえない。ここがどこかも、自分が誰かもわからない。その瞬間、わたしはHIROの半裸を見るためだけに存在する何者かだった。

ところで双眼鏡の設計の問題で、なぜか視界が真っ白になり、前が見えなくなった。この件については後日メーカーに訴えておきたい。

どうか忘れないで、信じて

最後のMCで、ツアー開催によって「希望や元気を分けあえた」とHIROは語った。

MC中に「夢を見たいから」を歌ってくれたのもサプライズだったけれど、最後の最後に『I&I』をアカペラで、マイクをほとんど通さずに歌ってくれたのはスーパーサプライズだった。

どうか 忘れないで 信じて

ライブはすぐさま過去になる。記憶はうすれて、やがて無意識の底に沈んでいく。

それでも、Zepp Tokyoの天井を突き抜けていくような歌声と、彼が歌にこめた想いをファンは忘れない。
分かちあった希望と喜びをトリガーに、いつでも鮮やかに今日のライブを思い出せるだろう。

 

 

▼ヒロソロ追記編

littleray.hatenablog.com

 

▼セットリスト

1. Why not?
2. Thin Moon
3. 転がる街
4. Avenge Ocean
5. JUSTICE
6. やさしい罠
7. Unforgettable
8. GAME CHANGER
9. Let’s get away
10. Mistake
11. I&I
12. Critical Calling
13. Everyday
14. Wish in the dark
encore
15. One Love
16. 目を覚ませ
17. ワイルドタマシイ
18. Yahho!

 

▼ツアー一覧

9月1日(水) 東京/Zepp Tokyo
9月18日(土) 大阪/なんばHatch
9月19日(日) 愛知/ダイアモンドホール
9月24日(金) 東京/Zepp Tokyo