新年早々、Youtubeでaccessのライブ映像を見た夫が女子中学生化した。
夫は「男同士的なもの」にはっきりと嫌悪感を示す、いたいけなアラフォー男子である。
その彼が、突然accessを変なふうに誤解しかかってしまった。
以下はその一部始終である。
* * *
しばらく作業部屋にこもっていた夫が、影のようにリビングへやってきた。
「あのさ・・・」
何か顔が能面になっている。このひと、こんなに色が白かったっけ?
「さっき、Youtubeでaccessのライブ映像観てたんだけどさ・・・」
私のいないところで、なんでわざわざaccessを観てたのかはあえて聞かなかった。
「大ちゃんが、ステージに転がってKX弾いてて。こうやって」
へえ、そういう弾き方もするんだ。私は思った。
「で、なんでだか知らないけど、HIROが覆いかぶさって歌ってんだよね・・・」
新年早々何言ってんの、このひと。
「ごめん、よくわかんない」と私は言った。「床? に寝てKXを弾いてたの? 大ちゃんが」
「あのさ、そこじゃないんだよ、オレが言いたいのは」
彼の言いたいことが分かるようで分からなかった。
「大ちゃんがHIROの敷布団みたいになってたってこと?」と私は聞いた。
「違うよ、だから覆いかぶさってたんだって。こう」
彼はHIROを再現してみせた。何かもう必死である。私は笑った。
「またまた」
「ほんとだって!」彼は真剣に訴えた。「オレさあ・・・、びっくりしちゃって。どういうこと・・・? って、思うでしょ。あんなの見せられたら。正直、変なふうに誤解されてもしょうがないと思ったよ」
大マジのマジで言っている。深刻な表情で。こっちがびっくりである。
「変なふうにって、どんなふうに誤解すんの?」なんとなくわかったけど、いちおう聞いてみた。
彼は言った。
「付き合ってる的な・・・?」
馬鹿なの? そう言いそうになるのを何とかこらえた。
女子中学生のaccessファンが「どう受け止めていいのかわかんない」と困惑するのと同じレベルである (私だ)。
「ただのステージパフォーマンスでしょ」アリーナスタイルの『SCANDALOUS BLUE』を観たあとに彼が放ったクールな台詞を、私はそのまま返した。
「そりゃまあ・・・『SCANDALOUS BLUE』を見たときはそう思ったけど、何か・・・オレ、正直もうわかんない」
夫の女子中学生化である。私ですらこんな勘違いしないのに。
私はため息をついて、そんなんじゃないことを説明した。
ていうかなんでこんなことを真顔で言わなくちゃいけないんだ。
彼は疑わしそうに作業部屋に消えていった。
そしてその直後に、くだんの動画のURLがメッセージで送られてきた。
「ねえ観た? 観てないの? なんで? 早く観てよ」
女子中学生のノリで私に動画を見せたがる彼がおもしろいので、もうちょっと焦らしてみようと思う。
それにつけても、いたいけなアラフォー男子を変なふうに誤解させちゃうaccessの破壊力たるや、たいへんなものである。
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