私はライブ中にテンションを上げられない。
感受性に重大な欠損があるのかもしれないし、ライブ限定で何か特定の心理作用が働いているのかもしれない。
もうずーーーーっと治らない。だからテンションが上がらない問題そのものは、もう仕方がないと思う。
問題はその病によって、ライブ中に「苦しい」と感じていること。
ちなみに私の夫もライブでテンションが上がらないタイプの人間だ。
でも彼は何ら苦しみを抱いていない。そういう自分を受け入れているし、変えたいとも思っていない。
彼の境地にたどり着けたら、どんなにか心安からだろうと思う。
だけど私は彼のように「ライブを完璧に客観視して分析する」域に行きたいわけじゃない。
私は
1. チケットを取った日からワクワクして
2. 当日は緊張でごはんを食べられず
3. ライブ中は夢中になって
4. 終わったあとは圧倒的な幸福感に包まれる
という、
Twitterやブログでよく見かける【ふつうのライブ体験】を体感したいだけ。
ライブをめぐるこれらのプロセスを、当たり前のように体感している人は幸福だと思う。
このような悩みを夫に打ち明けると、彼は毎回「もう行かなきゃいいじゃん」と言う。
まったくの正論。
そしてこうも言う。
「なんでテンションを上げなきゃいけないと思うの?低くても別にいいじゃん」
まったくその通り。わかってる。
でもライブ中くらい、胸を鳴らして夢中になりたい。それができないから辛いのよ。
そこで私は一つの仮説を立てた。
「生涯で最後のライブだと認識する」。
次があると思うから、集中しない。目の前で起こっていることが他人事のように感じられるのは、その瞬間を生きていない証拠だ。
目の前のライブが「人生で最後のライブ」になるとしたら、目に焼き付けたい、一瞬も見逃したくないと感じるはず。
その場にいられること自体が奇跡だと認識できれば、変われるような気がする。
そう簡単じゃないかもしれない。
でもいつまでも回し車の上を走っていたくはない。何かを変えなければ、何も変わらない。
次のライブで、実際にこのメメント・モリ的思考を試したいと思う。